前回のタイ文字講座「6. 中子音字と長母音の組み合わせに声調符号をつけて練習しよう」までで、「中子音字9種 + 長母音字9種 + 声調符号」の組み合わせはだいたい覚えたのではないかと思います。
今回は長母音だけではなく、母音のレパートリーを増やすため「複合母音(フクゴウボイン)と余剰母音(ヨジョウボイン)」を覚えていきます。
この2つも母音だけあっていろんな単語に使われています。
ネット検索で直接このページに来た人はぜひ「はじめに、初学者の方へ。」のページから読んでいただければと思います。
そこでは「タイ語マスターまでのロードマップ」や、「タイ語をマスターするまでに、まず何をすべきか」をまとめています。
なおタイ文字講座の目次はこちらです。
複合母音も余剰母音も日本人には聞きなれていないので、むずかしく思うかもしれませんが、大したことはありません。扱いは長母音と同じようなものです。
日本語の母音は「あいうえお」の5つなのにタイ語の母音はたくさんあるのね、、。
複合母音とは言われると難しく思うけれど「アイ」とか「イア」とかそんな感じで、母音の最小の音の要素としては長母音で習った9つだけだよ。
何言ってるか分からないし。
案ずるより生むがやすし。とりあえずやってみよう。
うまく説明できないのをごまかしてない?
今回の目標
という事で、早速複合母音字3種と余剰母音字8種を紹介します。
複合母音字3種と余剰母音字8種
まずは文字を見てもらいましょう。
เ- ีย เ- ือ – ัว
ไ- ใ- – ำ เ-า
-ฤ -ฤๅ -ฦ -ฦๅ
結構多いね。。。
余剰母音の最後の2つฦとฦๅは、実質もう使われてないから余剰母音は実質6つだね。
いろいろ説明していますが、説明に関してはサラッと読んでいただくだけで大丈夫です。
要は、このページの下の方にある練習問題(ドリル)を進めて、これらの文字がどういう発音記号になるかを覚えてもらえれば良いだけです。
次回以降も復習する機会が頻繁にあるのでどんどん進めば勝手に頭に定着するようにしています。
複合母音字3種の説明
先ほど複合母音字3種はご紹介しましが、中子音のกを入れて複合母音とセットで書くと下記のようになります。
たった3つだけ!簡単だね!
ちなみに複合母音を二重母音(ニジュウボイン)と日本語で言っている本もあるよ!
じゃあ、何でタイスタは二重母音って言わないの?
タイ語ではこの母音の事をสระประสม(sàràʔ prasǒm)って言うんだけどね。สระ(sàràʔ)は母音でประสม(prasǒm)は混ぜるっていう意味なんだよ。
タイスタではタイ語の単語ベースで複合母音と言わせていただきます。
この3つの複合母音(二重母音)ですが、母音ですので前回勉強した中子音9種等、子音とセットで出てきます。
短母音との違い
まだ勉強していませんが、タイ語には短母音という母音もあります。この短母音で「ia」を表すこともできますが、そうすると「ʔiʔ ʔaʔ(無理やり日本語で書くとイッヤッ」となり細切れの音になるので、「ia」とは違った音になります。
余剰母音8つ
中子音のกを入れて複合母音とセットで書くと下記のようになります。
っていうか、余剰母音の余剰って何?
これもね、タイ語だとสระเกิน(saràʔ kəən)って呼ばれてるので、、สระ(saràʔ)は母音で、เกิน(kəən)は超えるとかオーバーするっていう意味だから、余分にオーバーした母音って事で「余剰母音」って呼んでるみたいよ。
じゃあ、なんでสระเกิน(saràʔ kəən)なの?何をオーバーしたの?
これは、たぶんなんだけど。たとえば「lɯ́」は母音の前に子音の音「l」がついてるし、「am」なんかは最後に子音がついちゃってるよね。母音の域を超えて存在している母音だから余剰なのかなと思うんだよね。
なお余剰母音は後に学習する「末子音」をつける事ができません。これは余剰母音の末尾がすでに子音の音であるためです。ただし上記表の5番と6番の「ฤ」と「ฤๅ」は末尾ではなく頭に子音の音を持っているため末子音をつける事ができます。
これに関しては今後末子音について学習する「14. 平音節を作る末子音字を練習しよう」で解説いたします。
余剰母音字の「 ไ – 」と 「 ใ – 」について
余剰母音字の中に2つの「ay (アイ)」ですが、昔は微妙に発音が違う音だったそうです。しかし現在では全く同じ発音となっています。
全く同じ発音ですが言葉によってどちらのアイを使うかは決まっていますので、それらに従う必要があります。なお現在日常でใを使う単語は20しかないとされています。
この20の単語を覚えるための文句(詩)もあるので、興味がある人はぜひ見てみてください。
外来語の音等「アイ」という音を表現する時に使う場合は「ใ –」ではなく、「ไ –」を使います。
例えば「だい さん」という名前をタイ語で表現する際は通常 ได ซัง となり ใด ซัง とはなりません。
母音 ฤ と ฤๅ について
その他、余剰母音8つの表の5番と6番、ฤ ฤๅ は少し色分けしてしていますが、母音とされておりながらRの音が初めからついている特殊な文字です。
タイ語では通常母音文字は子音文字とセットで書かかれ、もし母音そのものの音を出したい場合は子音อを伴います。
それに対して、この余剰母音は子音の音をすでに持っているため、子音を必要としません。
例えば 「ฤดู (rɯ́duu)」 という単語は「季節」という意味の日常会話でも出て来る基礎的な単語ですが、このฤには子音がついていません。
この文字を使う単語は少ない文字ですが、人名などで時々見かける事もあります。
また表中にも書いていますが ฤ は使われる単語によって音が rí や rə́ に変わる事も稀にあります。
なんで ฤ は rɯ じゃなくて rɯ́ って声調がついてるの?
これは長母音じゃなくて短母音扱いだからだね。短母音はまだ勉強してないから、ここではそういう物だという事で保留しておいてね。
母音 ฦ と ฦๅ について
余剰母音8つの表のすぐ下にも書きましたが、現在廃字となっており日常で使用する事はありません。日本語でいうところの「ゐ」や「ゑ」のように古い文章では出て来る事があるそうです。
なお2019年現在販売されているタイ語キーボードには、同じく廃字となった ฅ ฃ と同様に ฦ もキーボード上に存在しています。
「複合母音と余剰母音」の声調
ここまでで複合母音と余剰母音にどういう物があるかというのは解説してきましたが、では声調符号がついた場合はどうなるのでしょうか?
答えは簡単、これまで勉強してきた長母音と同じ扱いになり、この表と同じです。
複合母音と余剰母音の練習
今回も前回同様120問でドリルを用意しました。
中子音に関しては初めて勉強した200問以来、毎回出てきていますので、覚える気がなくてもさすがに覚えているかと思います。
問題には、これまで勉強したことを忘れないよう、前々回練習した長母音も少し混ぜています。
今回練習する内容を使った実際の単語
今回練習する組み合わせを使った単語には以下のようなものがあります。
ต + เ – า + – ่= เต่า (tàw) 亀(名詞)
ต + – ัว + – ๋ = ตั๋ว (tǔa) 切符(名詞)
ด + – ำ = ดำ (dam) 黒い(形容詞)、黒(名詞)
จ + เ – ือ = เจือ (cɯa) 混ぜる、薄める(動詞)
今回練習する組み合わせでやはり最も日常会話に出て来る単語と言えば「ไป (pai) 」という単語です。
タクシーに乗った時、タイ人は「ไป(pai) + 目的地 + クラップ/カー」と言って、目的地を伝えます。
この他タクシーでなくても、「ไป + 目的地」でとりあえずその目的地に行きたいんだな、という事が分かってもらえます。
「~したい」という英語のwantに当たる表現も、もちろんタイ語にあり、これも良く使う単語ですが、これはまた後程勉強していきましょう。
これでどこにでも行けるね!
いや、行き先を伝えられないとね。。。
ドリルの使い方
タイ文字には発音記号を、発音記号にはタイ文字を、上に出てきた表を見ながら書き込んでください。
思い出せないところや分からないところは、空白のままで進むのではなく、発音記号の表を答えを見ながら正解を埋めながら進んでください。
タイ文字に直すときのdの音は「ด」を、tの音は「ต」を、ayの音は「ไ-」を使ってください。
ฤの発音はいくつかありますが、最も基本的な発音であるrɯ́を使ってください。
ここで完璧にする必要はありません。次以降も復習を兼ねて同じ問題を出して、実際に書き込んでいく過程で記憶が定着するように進めていきます。
練習編→ 7_renshu_fukugou_yojo_v23 (151KB)
解答編→ 7_kaitou_fukugou_yojo_v22 (142KB)
お願い事項
タイスタの練習問題は「だいさん」が個人で作成しており、間違いは見つけ次第すぐに修正して更新しておりますが、間違いではないかと疑問がありました際は、当ページ下部のコメント欄、フェイスブックページ、もしくはツイッターでご連絡いただけますと幸甚です。
その他、ユーチューブチャンネルへのコメントなども非常に励みとなりますので、遠慮なくお送りください。
ご協力よろしくお願いいたします。
次は短母音を練習していきましょう
如何でしたでしょうか?今回の目標である
は達成できたでしょうか?
これまでで長母音字、複合母音字(二重母音字)、そして余剰母音を勉強しましたが、次回้は短母音の勉強に入ります。
次回でタイ語の母音字は基本的に制覇したことになります。
どんどん進めばどんどん街中のタイ語看板が読めるようになりますよ!
しっかり勉強していきましょう。
次回もお楽しみに!
以上、「7. 複合母音字3種と余剰母音字8種を練習しよう」でした。
コメント
だいさん、はじめまして、平井といいます。
今春、バンコクに駐在予定となり、だいさんのページでタイ語を学んでます。
大変参考になり助かります。ありがとうございます。
質問があります。
ドリルの65のkuaは回答には発音記号が付いていません。
問題には第2声調記号がついてます。
これは何かルールがあるのでしょうか?
よろしくお願いします。
平井さん、こんにちは。
ドリルを使っていただいてありがとうございます!
問題と答えを確認してみましたが、65番の問題は61番同様母音の「ウア(ua)」で、第2声調符号ではありません。
似ているので見間違いかと思います。
中子音に二重母音がついているだけなので、解答の発音記号に声調はつきません。
また何かありましたらコメント頂ければと思います。で
ダイさん、はじめまして。
タイ語初心者ですがこちらのサイトは親しみやすく、いつも楽しく勉強させていただいています。
ドリルを解いたのですが、いくつか質問があります。
・余剰母音の4.子音がつく前は発音記号「aw(ao)」、กがつくと「au」となっていますが、ドリル6,8などほかの子音がついた場合は「aw」が解答になっています。「aw(ao)」「au」それぞれの発音使い分け方を教えてください。
・ドリル78は「lɯɯ」ではなく「rɯɯ」が解答になりませんか?
どうぞよろしくお願いします。
コメントありがとうございます。
>「aw(ao)」「au」それぞれの発音使い分け方を教えてください。
に関してですが、これは間違いです。
本来aw(ao)とするのですが私がタイ語を自身で勉強していくうえで、
どういうわけか間違えてauと書く癖がついてしまっていて、
それで間違えて書いてしまいました。^^;
という事でawに修正しました。
こんばんは。つい最近タイ語を始めましたが、ダイさんのおかげで最初は意味不明なくるくるしたものだったのが少しずつ読めるようになってきてとても嬉しいです!
ありがとうございます!
練習問題の78番について、回答がlɯɯになっていたのですがrɯɯではないかな?と思ってコメントさせていただきました。
確認したところ確かにrɯɯでした。
ありがとうございます^^
先ほど修正して再度アップロードしました。
はじめまして。
いつもお世話になっております。
声調を表して下さっている図なのですが、下声の部分が、タイ語の例ก้าに対し、発音符号の例がmâaとなっています。
気が付かれていつつも、すぐに直せない止むを得ないご事情などがあるのやも…と、想い、数日。
やはり、お知らせしようと思い立ち、コメント致しました。
お一人でここまでのものを作成、管理されるのはご苦労も多いかと存じますが、ご自愛専一にて精励くださいますようお願い致します。
ご指摘ありがとうございます。間違いに気づいていませんでした。先ほど直して再度アップロードしました。助かりました^^
はじめまして!こちらのおかげで少しずつですがタイ語に慣れてきています。
ありがとうございます!
余剰母音8種の表の7番目ฦ / -ฦๅ
となっていますが、ฦ / -ฦ
ではないでしょうか?
廃字ですし、特に問題ないのかなとは思いましたが気になりましたのでコメントいたしました。
コメントありがとうございます。確認したところ確かに間違えていましたので、先ほど修正してアップロードし直しました。ご協力大変助かります^^