前回のタイ文字講座「7. 複合母音字3種と余剰母音字8種を練習しよう」までで、長母音字、複合母音字、余剰母音字、を練習してきました。
日本語の母音5つ「あいうえお」と比べて多くの母音が出てきたことに、閉口していらっしゃるかもしれませんが、今回の「短母音字」で母音はすべて勉強してきたことになります。
はりきっていきましょう。
ネット検索で直接このページに来た人はぜひ「はじめに、初学者の方へ。」のページから読んでいただければと思います。
そこでは「タイ語マスターまでのロードマップ」や、「タイ語をマスターするまでに、まず何をすべきか」をまとめています。
なおタイ文字講座の目次はこちらです。
短母音? 長母音が短くなっただけじゃダメなの?
長母音と一緒に勉強してしまっても良かったんじゃないの?
日本語なら横棒一本で長くできるけど、タイ語では文字も違うし、声調とも関係してくるからちょっと厄介なんだよ。
今回の目標
短母音字になると声調の規則も変わってくるので、そこも合わせて今回の目標は下記です。
短母音字12種
という事で、まずは短母音文字を見ていきましょう。
短母音文字は下記12文字あります。
- ะ – ิ – ุ – ึ เ- อะ เ- ะ แ- ะ โ- ะ เ- าะ เ- ียะ เ- ือะ – ัวะ
多いよ~~。
なんか似たような組み合わせなのが、余計にややこしいし>_<
日本語みたいに次の文字は横線1本引けば、伸ばして読みまーす。とは違うから明らかに面倒だね。
長母音字でも習ったような形が組み合わさってできていたりと混同させるような文字ですが、今回も練習問題(ドリル)を作ってるので心配無用です。
ざっと説明を読んでどんどん練習問題を進めてしまってください。
短母音字12種の発音
うーん、やっぱりコレ、全部覚えないといけないの?
そうだけど、よくよく見てみると長母音や余剰母音と似ているよね?
番号2,3,4は長母音と形が似ていますし、9番以外の4以降は長母音と同じ形で「-ะ」が後ろについてるだけです。
注意すべきは9番の「เ-าะ」でしょう。「เ- า」は余剰母音「au」でしたが、「เ-าะ」はなぜか「ɔʔ」という風になています。
たくさんあるように見えますが、覚えるための労力はそんなにかかりません。
たしかに良く見ると長母音とそんなに変わらないね!
っていうか。発音記号が低声だっけ?下がる音になってて、最後に「はてな」みたいなマークがついてるんだけど?なんだっけ?
そうそう、中子音字に短母音字がつくと短母音は「低声(\)」になるんだよ。
あと最後の「ʔ」は声門閉鎖音(せいもんへいさおん)だね、例えば一番上の「カ」なら日本語の「カ」よりも短く急ブレーキをかけるような感じで、、、発音は「カッ」の方が似ているかも知れないね。
じゃあ「カッ」って書きなよ
日本語の音に近づけるなら「カッ」としても良かったんですが、「カッ」とすると今後出て来る別の発音と混同する可能性があり、また多くの日本人向けタイ語教本にならい「カ」という表記にしています。
詳しくは「声門閉鎖音の説明」(準備中)で解説としますが、急に発音をストップするような、文字の通り声門を閉めるような感じ発音になります。
言語学者でもなく、テストを受けるわけでもないので発音が正しくできれば省略しても良いと個人的いは思いますが、タイスタディはできるだけ書くようにしました。
なお、個人的にはいつも省略しているので、動画内の解説では省略していることも多いのです^^;
教本によっては省略されている事もありますが、短母音の「iaʔ ɯaʔ uaʔ」だけは省略すると余剰母音と発音記号の表記が同じになってしまうため、省略しないという方針の本が多いようです。
平音節(へいおんせつ)と足音節(そくおんせつ)
今回勉強する短母音の突然切れるような音で構成された節(最小の音の単位)の事を「促音節(そくおんせつ)」とよび、前回までで勉強してきた長母音・複合母音・余剰母音で構成された節を「平音節(へいおんせつ)」と呼びます。
平音節と促音節ですが、今回の短母音の発音記号を見ても分かる通り、「中子音字+短母音字」で促音節になるため、声調が低声になるというルールがあります。
「促音節(そくおんせつ)」「平音節(へいおんせつ)」という呼び方は日本語での言語学的な名称なのですが、今後の説明の中で出て来る専門用語ですので、概念だけは覚えておいた方が良いでしょう。
中子音と短母音字と声調符号
短母音字で終わる単語には基本的には声調符号はつきません。
ただし「中子音と短母音字」の組み合わせでは、まれに声調符号がつく事もあります。
例えば「つくえ」という意味の「ต」+「โ – ะ」+ 「- ๊」= 「 โต๊ะ (tóʔ) 」がそれにあたります。
その他、方言ัやスラング、音そのものをタイ語であらわす時に良く出てくる組み合わせになり、例えば「ちょうどぴったり」というオノマトペ(擬音語や擬態語)のタイ語「ペ(ペッ)」。
タイ語で書くと「 เป๊ะ (pɛ́ʔ) 」となります。
声調符号がつく際は「mái trii ( – ๊ )」がほとんどで、その他はあまり見かけません。
中子音字の場合、短母音字であったとしても「中子音字」+「長母音字」で勉強した声調符号の発音に準拠しますが、声調符号がない場合も低声になるという事に注意が必要です。
まとめると、下記にようになるという事です。
ただし、グーグルなどで検索するとスラングや方言、古語などどでは出て来る組み合わせのため少し薄く灰色をつけて念のため記載しました。
短母音字12種の練習
今回も120問でドリルを作りました。
今回出て来るのは基本的には中子音と短母音ですが、これまで勉強したところも出題しています。
これまで勉強してきた内容、ちゃんと覚えてる?
だいたい覚えてるけどちょっと怪しいところもあるかなぁ。
これまで勉強してきたところの記憶が少し頼りなくなってきているようなら、ぜひ「総括表」を利用してみて下さい。
総括表にはまだ勉強していないところも含まれていますが、そこは無視して構いません。これまで勉強したところの確認には最適です。
今回練習する内容を使った実際の単語
今回練習する組み合わせを使った単語には以下のようなものがあります。
จ + ะ – = จะ (càʔ) ~する予定です(未来を表す助動詞)
ด + – ุ = ดุ (dùʔ) 叱る(動詞)獰猛な(形容詞)
บ + เ – าะ = เบาะ (bɔ̀ʔ) クッション、座布団(名詞)
ต + เ – ะ = เตะ (tèʔ) 蹴る(動詞)
今回練習する組み合わせで皆さん良く知っている単語はやはり「เกาะ (kɔ̀ʔ)」でしょうか。
よくサムイ島の事をコサムイ、ピピ島をコピーピーなどと日本で表記しているパンフレットを見る事がありますが、あの「コ」とは「 เกาะ (kɔ̀ʔ):島 」の事です。タイ語は後ろから修飾するのでコサムイはサムイ島となるわけです。
なお日常会話に出て来る単語と言えば「จะ (càʔ)」という単語です。動詞の前において未来を表す時に使います。
例えば前回習った「ไป(pay):行く」と「เกาะ (kɔ̀ʔ):島」そして「เต่า (tàw):亀」を使って文を作ると
● ไป เกาะ เต่า⇒ タオ島へ行く。
● จะ ไป เกาะ เต่า ⇒ タオ島へ行く予定です。
となります。
ドリルの使い方
タイ文字には発音記号を、発音記号にはタイ文字を、上に出てきた表を見ながら書き込んでください。
思い出せないところや分からないところは、空白のままで進むのではなく、発音記号の表を答えを見ながら正解を埋めながら進んでください。
タイ文字に直すときのdの音は「ด」を、tの音は「ต」を、ayの音は「ไ-」を使ってください。
ฤの発音はいくつかありますが、最も基本的な発音であるrɯ́を使ってください。
→ 8_renshu_tanboin_v20 (137KB)
「タイ文字入門講座 – 短母音字の練習」(解答編)をダウンロード
→ 8_kaitou_tanboin_v21.pdf(141KB)
お願い事項
タイスタの練習問題は「だいさん」が個人で作成しており、間違いは見つけ次第すぐに修正して更新しておりますが、間違いではないかと疑問がありました際は、当ページ下部のコメント欄、フェイスブックページ、もしくはツイッターでご連絡いただけますと幸甚です。
その他、ユーチューブチャンネルへのコメントなども非常に励みとなりますので、遠慮なくお送りください。
次は高子音字10種を練習していきます
如何でしたでしょうか?今回の目標である
は無事達成できましたか?
横棒一本で発音を伸ばせる日本語とはかなり違うという事は理解いただけたかと思います。
しかし今回でタイ語の母音字については一部例外を除いて制覇しました。
これまで習ってきた文字だけでも先ほどの「タオ島へ行く」という例文くらいは作れたりしますが、次は使える子音字を増やしていくために高子音字10種を勉強していきます。
次回もお楽しみに!
以上、「8. 短母音12種を練習しよう」でした。