前回のタイ文字講座「15. 促音節を作る末子音字を練習しよう」で、すべての末子音字の発音を、だいたい理解していただけたと思います。
今回は末子印字による母音の変化について練習していきます。
ネット検索で直接このページに来た人はぜひ「はじめに、初学者の方へ。」のページから読んでいただければと思います。
そこでは「タイ語マスターまでのロードマップ」や、「タイ語をマスターするまでに、まず何をすべきか」をまとめています。
なおタイ文字入門講座の目次はこちらです。
今回が終わればもうだいたいのタイ語は読めるようになってますよ。
今回の目標
今回の目標は下記です。
今回は前回、前々回に勉強した内容とは違う母音を使って末子音を練習しましょう。
今回で母音が無いように見えるタイ語の単語もなぜそうなのかが理解できるようになります。
末子音による母音字の変化
前回、前々回練習してきた末子音には、実は特定の母音しか使っていませんでした。
これは特定の母音は末子音がつく事で形が変わるためです。
まずは形が変わる母音を一覧で見てみましょう。
上記の表中、黄色ハイライトの欄が母音字の形が変わるところになります。
また少し濃い肌色になっているところ、前4か所ですが、これは特殊な規則になりますので、下記にて一つずつ説明していきます。
二重母音について
表中、青の太線で囲っている部分は、「同じ」と矢印で書いていますが、複合母音の短母音とは音自体が短いわけではなく、声門閉鎖音による促音節化しているという発音です。このため、末子音がある場合は全く同じ発音になります。表の体裁上、重複して記載しています。
読み方が確定しない組み合わせについて
表中、緑の太線で囲っている部分は、タイ文字を見ただけでは長母音なのか短母音なのかが分からない組み合わせです。これらに関しては単語ごとに覚えるしかありません。
例えば「เม่น」という表記を見ただけでは「mêen」か「mên」のどちらかが特定できないという事です。ちなみにこの単語は動物の「ヤマアラシ」という意味で読みは「mên」となります。
「 เ – ย 」( əəy )について
表中、濃い肌色になっているところの一つ。「 เ – ย 」は「 เ – 」に末子音「 ย 」がついたという理解も可能で、そうすると例えば「 เลย 」は「 leey 」と読める事になります。
しかしこの「 เ – ย 」という組み合わせの場合は「 əəy 」という読みを優先します。
เลย ⇒ ləəy
เคย ⇒ khəəy
「 – ร 」( -ɔɔn )について
表中、濃い肌色になっているところの一つ。「 – ร 」は頭子音字のすぐ後に「 ร 」が来た場合、これまでのルールですと母音が見えないので母音は「 o 」で末子音は「 -n 」と判断してしまいますが、「 – ร 」は特別に「 -ɔɔn 」という発音を行います。
なお母音字がある場合はこれまで通り、末子音字「 ร 」の音は「 -n 」となります。
กร ⇒ kɔɔn
การ ⇒ kaan
「 – รร 」( – an )について
表中、濃い肌色になっているところの一つ。「 – รร 」は頭子音字のすぐ後に「 รร 」が来た場合、特別に「 an 」という発音を行います。
สรร (発音的にはสันとなる) ⇒ sǎn
กรรกง ⇒ kaan + koŋ ⇒ kaankoŋ
「 – รร 末」( – a- )について
表中、濃い肌色になっているところの一つ。「 – รร 末 」は頭子音字のすぐ後に「 รร 」が来た後、末子音が入ると、特別に「 a 」という発音を行います。
สรรม (発音的にはสัมになる)⇒ sǎm
กรรค (発音的にはกัคになる)⇒ kàk
母音字の変化の解説
下記、念のためそれぞれの変化に対する説明をしておきます。完璧に覚える必要はなく何となく理解できればそれで構いません。
長母音(表中の左側)
「 – ื 末 」( ɯɯ- ):「 มือ 」に末子音字「 ด 」がついた場合、「 มือด 」ではなく「 อ 」 を表記せず「 มืด(mûut) 」となります。
「 เ – ิ 末 」( əə- ):例えば「เกอ (kəə) 」に末子音字「 น 」がついた場合は「เกอน」ではなく「เกิน (kəən)」となります。「อ」の表記を外してから頭子音の上に 「 – ิ 」を表記します。もしが「 – ิ 」無ければ「 e 」の音である「 เ – 末 」と混同してしまうために作られたルールのようです。
短母音(表中の中央)
「 เ – ิ末 」( ə- ):非常に困った規則で、なんと長母音の「 เ – ิ 末 」( əə- )と同じ形になってしまいます。ただしほとんどの、この形の単語は長母音を採用していますので、表中では文字の色を灰色としています。
「 เ – ็ 末 」「 เ – 声末」 ( e- ):「 เละ (léʔ) 」に末子音が「 ก 」ついた場合は「 – ะ 」を外しその代わりに頭子音の上に「 – ็ 」を追加して「 เล็ก (lék) 」となります。ただし、声調符号がつく場合は、「 – ็ 」の外し、声調符号を書くだけとなります。
「 แ – ็ 末 」「แ – 声末」( ɛ- ):「 – ะ 」を外しその代わりに頭子音の上に「 – ็ 」を追加します。ただし、声調符号がつく場合は、「 – ็ 」の外し、声調符号を書くだけとなります。
「 – 末 」( o- ):母音字自体を省略してしまうという規則です。見た目は子音字が並んだだけのように見えるため非常にややこしいのですが、要するに子音字が並んでいるだけのように見える際は「 o- 」の発音だと覚えましょう。
「 – ็อ 末 」「- อ 声末」( ɔ- ):「 – าะ 」を外しその代わりに頭子音の上に「 – ็ 」と「 อ 」を追加します。ただし、声調符号がつく場合は、「 – ็ 」を外し、「 อ 」と声調符号を書くだけとなります。
複合母音(表の中央下と右側)
「- ว 末」( ua- ):「 – ั 」のを表記せずそのまま末子音をつなげて書きます。一見すると母音が無いように見えるため上記「 – 末 」( o- )と混同しかねませが、こちらは「 ว 」の後ろに末子音がつきます。「 ว 」が出てきたときは、注意しましょう。
母音字の形を変える末子音の練習
今回は母音字の形を変える末子音字の組み合わせを練習できる75問用意しました。
タイ語を発音記号に直してください。
なお、読み方が確定しない組み合わせについては、答えが2つ存在するように問題を作っています。できれば両方の答えを記入下さい。もちろん解答には2つとも記入してあります。
今回練習する内容を使った実際の単語
今回練習する組み合わせを使った単語には以下のようなものがあります。
ผ + โ – าะ + ม = ผม (phǒm) 僕、私(男性一人称)
ค + เ – อ + ย = เคย (khəəy) ~したことがある(経験を表す)
ด + เ – ะ + ก = เด็ก (dèk) 子供
ร + – ะ + ก = รัก (rák) 愛する
「 นวด 」とは「按摩」や「マッサージ」という意味の名詞です。一見母音がないのでタイ文字の勉強を始めたばかりの方は驚くかもしれませんが、複合母音「 – ัว 」に末子音がついたため、母音の形が変わり「 – ว末 」となったため一見母音がないという風に見えてしまいます。
マッサージ屋さんの前にはまず、この表記があるはずですのでマッサージ屋さんの前を通る際には見て見られることをお勧めします。
なお「 ผม (phǒm)」は男性ならしょっちゅう使う事になる言葉ですが、こちらも母音が無いように見えます。しかこれは「 โ – ะ ( oʔ ) 」という短母音に末子音がついたため母音文字が見えなくなったという変化です。
考えるのではなく、感じるのだ!
きちんと、考えましょう!
ドリルの使い方とダウンロード
下記、練習のPDFファイルをダウンロードし、印刷してご利用下さい。印刷した練習のドリルに、実際に書き込むことで最大の練習効果が得られます。
答え合わせが終わり、内容に納得ができましたら、サクッと次の項に進みましょう。今後も復習の機会を設けていますし、完璧にしてから進もうとすると途中で挫折しかねません。
練習編 → 16_renshu_masshiin_boin_v22 (190KB)
解答編 → 16_kaitou_masshiin_boin_v23 (228KB)
お願い事項
タイスタのドリルは「だいさん」が個人で作成しており、間違いは見つけ次第すぐに修正して更新しておりますが、間違いではないかと疑問がありました際は、当ページ下部のコメント欄、フェイスブックページ、もしくはツイッターでご連絡いただけますと幸甚です。
その他、ユーチューブチャンネルへのコメントなども非常に励みとなりますので、遠慮なくお送りください。
ご連絡よろしくお願いいたします。
次は促音節を作る末子音字について練習します
いかがでしたか、今回の目標
は達成できましたでしょうか。
正直このあたりは複数の読み方ができてしまうため、単語とその読み方を組み合わせで覚えていく必要があるところです。ただし規則を知っていないと候補を絞る事さえできないので押さえておくべきところでしょう。
今回で末子音の基本的な使い方の学習は終わりました。次回は「二重頭子音と疑似二重子音」を勉強していきます。これが終わればすべての子音と母音を一通り勉強したことになります。
次回もお楽しみに!
以上、「16. 末子音による母音字の変化を覚えよう」でした。